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幼児教育が人生に与える影響
今日、日本では自民党が幼稚園無償化に向けて取り組みを始めており、安倍首相も3月の委員会において、「幼児期は生涯にわたる人格形成の基礎を培う極めて重要な時期であるとともに、この時期に質の高い幼児教育を保障することは、極めて重要である。」と述べている。
人生の成功には、自制心や粘り強さなど、「IQテストでは測れない能力」が重要である。今日はアメリカで行われた、低所得層のアフリカ系米国人を対象に、幼児教育の影響を40年間にわたって調べた研究等を紹介します。

シカゴ大学の経済学者でノーベル賞受賞者のJames Heckman(ジェームズ・ヘックマン)氏と、ペンシルベニア大学の経済学者Flavio Cunha氏が2010年7月に発表した論文は、幼稚園教育について興味深い論文を挙げている。
幼児教育の長期的な影響を追跡した調査で、例えば『Perry Preschool Project』 は、ミシガン州イプシランティにおいて、低所得層のアフリカ系米国人の子ども123名(最初のIQスコアは、全員が75から85)を対象に行なわれた調査では、子どもたちが3歳のとき、実験群と対照群とに無作為に分け、前者には質の高い就学前教育を受けさせ、対照群には就学前教育を受けさせなかった。その 後、被験者たちを数十年にわたって追跡し、直近では彼らが40歳のときに、両群の比較分析を行なっている。


成人した被験者を比較した結果、就学前教育を受けた群は、受けなかった群に比べて、高卒資格を持つ人の割合が20%高く、5回以上の逮捕歴を持つ人の割合 が19%低かった。離婚率も低く、生活保護等に頼る率も低かった。「月収2000ドルを超える者の割合は実験群が対照群の4倍で、家を購入した者も実験群が3倍高かった」という。

興味深いのは、この実験が「IQスコアの向上」に長期的な効果をもたらしたわけではないことだ。就学前教育を受けた子どもたちは、最初のうちは一般知能の 向上を示したが、この傾向は小学2年生までに消失した。代わりに就学前教育は、さまざまな「非認知的」能力、例えば自制心や粘り強さ、気概などの特性を伸ばすのに効果があったとみられる。

私たちの社会は「頭の良さ」に価値を置く傾向が強いが、冒頭の論文を執筆したHeckman氏とCunha氏は、こういった「非認知的」な能力こそが重要であることが多いと論じる。彼らは、信頼できる人間性こそ雇用者が最も評価する特性であり、「粘り強さや信頼性、首尾一貫性は、学校の成績を予測する上で最も重要な因子」だと指摘する。

これらの有益な能力は、むろん一般知能とはほとんど関係がない。しかし、この非認知的な能力はIQに比べて、はるかに人生において役立つ能力である。幼稚園は物事を子ども一人ひとりが自分で判断することが出来るよう、日々の関わりにおいて伝えることが幼児教育の基本と捉えている。勉強が出来る出来ないではない。優しい心、くじけぬ心、挑戦する勇気、頑張る気力。これらの土台がしっかりと作れる環境こそが理想の幼児教育だと感じる。


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